第9回 カテゴリーシェア1位。パナソニックの温水洗浄便座が成功した3つの理由

今回は、デジタルの変化にいち早く対応してECにおける圧倒的なマーケットリーダーとなったパナソニックの温水器付きトワレ(温水洗浄便座)を紹介します。

パナソニックの推定によると、中国の最大のEC プラットフォームであるTmall とJDにおける同社の温水洗浄便座のシェア(2016年)は、それぞれ40%、60%に達しています。これはダントツ1位のシェアです。

2016年度のパナソニックの温水洗浄便座の売り上げ台数は38万台に達し、2年前の10倍近くとなっています。EC比率は3分の2と圧倒的です。

この急成長の理由として度々言及されるのは、“中国の池上彰”とでも呼ぶべき吴晓波というジャーナリストの存在です。

彼が2015年の1月に日本から帰国する飛行機の中で日本での爆買いに関する考察をした際に、たまたま温水洗浄便座が取り上げました。これがネットやテレビ上で大きく話題になり、パナソニックというブランドが広く認知されたのです。

これは意図的なものではなく、ラッキーパンチなのですが、ここまで売上が高まった背景には、そのほかにも幾つかの要因があります。

一つ目は、急速なEC化の波の先読みです。

ECが主力のチャネルになる前までは、温水洗浄便座といえば建築やリフォームのタイミングで取り付けられる据付型便器が一般的でした。

この分野はTOTOがマーケットリーダーの一角を占めている高価格市場であり、ECでパナソニックがメインに展開している後付け型便器とは全く違う価格帯の商品です。

この市場も順調に伸びているため、トッププレイヤーは後付け市場には注力しませんでした。そのため、当初EC市場に参入したのは中国ローカルや韓国などの後発勢が中心でした。その市場に、パナソニックはいちはやく参入したのです。

そもそも、温水洗浄便座市場は、潜在ユーザーの数%しか買っていない、家電としてはニッチにあたる商品ですが、高単価という魅力があります。

ECプラットフォーム側からすると、値引きで体力を消耗したり安物を売ったりするよりは、きちっと値段がつくブランドを取り扱いたい。そうしたニーズに、パナソニックの戦略がピタッとはまりました。パナソニックは主要ブランドの中で最初にEC側の戦略意図を理解し、目線を合わせたため、ECプラットフォーム側から様々な優遇を受けることができたのです。

このスタートダッシュがパナソニックの成功につながりました。ちょうど過去半年から1年は、温水洗浄便座のEC市場の立ち上がり期であったため、パナソニックは大きく成長することができたのです。

成功の2つ目の理由は、インストールにおけるモバイルサービスの徹底活用です。

ECで売れても、温水洗浄便座は、多くの場合、取り付けサービスを必要とします。広い中国では、取り付けサービスの手間を嫌い、代理店にECを任せるブランドも多いのですが、パナソニックは神工007と言われる、家具取り付けのマッチングサービスを活用しています。

この会社は、一言で言うと、家具取り付けのUberです。

取り付けサービスが必要な人がいたら、一番近くて時間の空いている取り付け担当者があてがわれるという仕組みです。必ずしも取り付けのプロではなく、普段は別の仕事を持っている人も多く登録しています。

このサービスを展開している会社は2015年にAラウンド、昨年秋に15M 米ドル(約17億円)のBラウンドの投資を受けた非常に新しいベンチャーですが、パナソニックは彼らの初期からの顧客です。このサービスを活用することで、どこで売れても取り付けの心配がない体制を構築できたのです。

三つ目は、アフターサービスにおけるモバイル機能の徹底活用です。

プロダクトを除くECにおける差別化ポイントは、取り付けサービスと問い合わせ対応の二つしかありません。

パナソニックは、パターン化が可能で、自社で行うにはコストがかかりすぎる取り付けは外注する一方、電話とWeChatでリモート対応ができる問い合わせについては、徹底的な自前化と自動化に取り組んでいます。

パナソニック温水洗浄便座の呉総経理によると、コールセンターは自社で直接管理し、日本的なサービスを徹底しているそうです。実際に弊社社員が電話問い合わせをしてみましたが、素早い応対と親身な対応に驚かされました。

さらに中国では企業のコミュニケーションにおいて基本ツールとなっているWeChatについても、業界では最も早く顧客コミュニケーションの中心として整備をし、アフターサービスだけでなく、事前の便座測定なども行えるようになっています。

パナソニックの成功の背景には、新しい市場の変化に敏感な、現地の若い社員に対する信頼が見て取れます。上記の大事な意思決定やアイディアの多くは、若手からの提案が元になったそうです。

中国のスピードの速いデジタル市場の変化に一番敏感なのは、1980年台後半、90年台に生まれたデジタル世代ですが、彼らは日本企業かどうかに関わらず、どの企業でも働いています。

彼らの意見を汲み上げ、信じてやってみる。やるならなるべく早くやってみる。
そうしたパナソニック温水洗浄便座の思い切りから、多くの日本企業は学ぶことができるのではないでしょうか。

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