伝えずにいられない、しまじろうが紡ぐ家族の感動ストーリー

今回は第6回のユニクロに続きデジタルの変化を捉えて中国でNo.1になった日本ブランドのベネッセホールディングスのしまじろうのお話しです。

先週の12月12日、ベネッセのしまじろう会員が中国参入10年目にして100万人を超えたことを祝う祝賀会があり、2014年からソーシャル領域のデジタルコミュニケーションをお手伝いさせて頂いている僕達yo-renも参加させていただきました。中国においても基本のビジネスモデルは、日本と変わらず「月額固定で一定の長期間契約」を前提として、毎月会員宅にDVDや絵本、知育・しつけに資する玩具が届くというものです。

競争の激しい中国ですから、同様の事業モデルは数十社が挑みましたが、現在しまじろうと同じ月額固定モデルでアクティブ会員を10万人以上抱える早期総合教育サービスは存在せず、事実上の一人勝ち状態となっています。実際に昨年複数の主要動画再生サイトで放映が開始された「しまじろうアニメ」は7億回も再生され、中国の子供が大好きなキャラクターとして「しまじろう」はすっかり定着しました。

ここ最近のわずか3年で会員数は2倍強になり、同時に公式会員への窓口ともなるWechatの公式アカウント会員数も数万人から70万人を超えるまでに増大しているのを見ると、近年のデジタルメディア変化の波を捉えていることは間違いありません。何かというと、ソーシャルメディアが進化してくれたお陰で、お客様がどんどん友達を紹介してくれているのです。現時点で、新規会員の半分は明確な友達紹介、間接的なものも含めると70%が友達紹介経由の入会ということです。実際Wechatの公式アカウント上で調査をしても、フォロワーの2割以上は、有料会員になる前に友人経由などでまずこのアカウントで自ら情報を確認しています。

なぜこうしたことが起こるのか。中国では、これだけ力のあるプラットフォームになると、何億人にも届く無料モデルにして、企業広告や企業協賛に頼るモデルに転換するのが一般的です。その方が顧客数にインパクトがあり資金調達もしやすく、会員が全土を覆えばネットワーク効果で競合を抑えこむことが出来ますし、BtBの収入の方が確実性が高いからです。あえてその道を追わず、中国でも自社コンテンツの強化にこだわり、サービス受益者がお金を払いたいと思うクオリティにこだわって一歩一歩地道に拡大していることが、一人勝ちの本質的な理由だと思います。企業収入を目当てにした無料コンテンツでもPV(アプリの閲覧数)が重要であることは変わりありませんが、どうしてもすぐ読んでもらえるもの、今クリックに繋がるものという視点が重要視され、ビジネスが刹那的になることは否定出来ないからです。

 

実際にマーケティングの責任者にお話を伺うと、ベネッセの幼児向け事業における思いは、「子どもの成長の瞬間、子育て期間の親子の幸せな時間をどう増やしていくか」に尽きるが、中国ではそうした幸せな自身の体験を共有したいという国民性と、Wechatによる共有メディアの進化が組み合って、ベネッセの思いをユーザーが勝手に拡散してくれている、とのことです。もちろん、SNS上での情報共有を促すアプリやWechat上での共有が会員化に繋がる様々な実験を継続的に行って、時流を逃さないように耐えず変化を厭わないことも、圧勝の影にあって無視できないと思います。

冒頭の祝賀会の最後には、親子の幸せな時間を作ることに拘るブランド提供価値を可視化した映像が流れ、社長はこれを何度も見た今でも涙すると仰っておられました。事業モデルまで本当にその精神から乖離していないからこそ流れるのだと思いました。日本企業は変化の早い中国デジタルマーケティングで勝つことは難しいのではないかという見方も多くありますが、1人の人を感動させられれば何百人もがそれを自動的に目にするというデジタル時代の本質がより強く早く現れる中国は、感動を生み出す自信のあるブランドにとっては、取り組まずにはいられないマーケットだという好事例だと思います

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