ベンチャーの聖地はシリコンバレーから中国へ

宋文洲メールマガジン連載開始!
第1号 ベンチャーの聖地はシリコンバレーから中国へ
2016年9月より、弊社CEOの金田が、尊敬する先輩である宋文洲さんのメールマガジンにコラムを連載することになりました。 主に中国の消費市場の変化や新しいサービスの紹介、そこで活躍する日本企業の姿を隔週で紹介していきたいと思っています。なおメールマガジンはSoftbrainのウェブサイトでもご覧頂けます(http://www.softbrain.co.jp/mailmaga/)。
以下宋文洲メールマガジンより転載)
今回より連載をさせていただくことになりました。Yo-ren Limitedの金田です。2011年から中国に移住し、翌年から上海でデジタルマーケティングの仕事を始めて5年目になります。スマホを中心に、デジタル媒体上での消費者向けブランドのマーケティングのお手伝いや、コンビニやスーパー向けの会員管理プログラムを提供しています。宋さんのこちらのメルマガの読者には、中国在住の方も多いと思いますが、特に小売業向けのサービスでは、北京上海広州という一級都市のみならず、地方都市の動向も日々感じ取ることが出来ますので、そんな日々の事業や上海での生活を通じて感じることを共有していきたいと思います。

第一回の今日は、シリコンバレーだけがベンチャーの聖地だと思っている人は5年遅れているということを、数値で把握したいと思います。GDPは、2010年に中国が日本を追い抜いてから昨年末までの5年で2.6倍になりました。このスピード感もすごいですが、IT領域のイノベーションの中心であるベンチャー市場の変化は更に何十倍ものスピードです。僕が中国に来る直前まで日本のベンチャー投資市場は中国市場を凌駕していました。それが、MoneyTree発表による昨年の実績では中国のベンチャー企業の資金調達金額は380億ドルと米国の6割超に達し、日本の30倍以上になりました。2016年はまだ途中ですが、上半期は前年以下と弱含んでいる米国市場に対して、中国が肩を並べる、追い越すという分析がなされています。2013年時点では中国は米国の15%に過ぎませんでしたから、あっという間にベンチャー市場は、米国一強時代から米中が二強になったわけです。意味合いはなにか。もはやシリコンバレーに世界のイノベーションが集中していると考えるのは時代錯誤だということです。投資の妙味という観点では中国は時既に遅し、インドを始めとした新興市場にチャンスが有ると思いますが、企業のR&Dの対象として北京・深センの動向を真剣にサーチしなければいけない時代だと思います。そして、もう一つ。日本が抱える閉塞感の原因である人口と企業の双子の高齢化は、中国では少なくとも同時発生しそうにない、ということです。

実際に昨年のTechCrunchというベンチャーイベントに合わせて北京を訪れたAlphabet(Googleの持ち株会社)のエリック・シュミット会長は、世界のイノベーションのコアがシリコンバレーだけという時代は終わり、北京もボストン、テルアビブと並んで世界のイノベーション基地として重要な位置を占める、中国では一般消費者は使えないGoogleですら、中国市場でのR&Dを怠るつもりはないと発言しています。

今月頭のG20に合わせて、G20の諸外国はこのタイミングに合わせて様々なビジネスイベントをここ上海でも開催しており、僕もオーストラリアとフランスのイベントに参加しました。オーストラリアのイベントは、豪政府肝いりで始めた豪ベンチャーの世界チャレンジプロジェクトのキックオフでした。彼らが選定した世界のイノベーションの中心にある5拠点で成長可能性と資金調達の可能性を探る先として、上海が選ばれたそうです。

対する日本はどうでしょうか。サミットでは色々工夫を凝らして日本の良さを訴えようと努力したようですが、G20を機会と捉えて官民一体で中国にて何かを仕掛けたという話は聞きませんでした。上海にいる僕達がこうした日本の意識を変えていかないと行けないと改めて感じたイベントでした。